福祉用具専門相談員としてケアマネジャーへの営業をしていると、商品やサービスの話だけではなく、仕事の愚痴や利用者さんとの出来事について話をする機会が結構あります。
「昨日、○○さんのところでこんなことがあって……」
「ご家族からこんなこと言われちゃって」
「最近、あの利用者さんが大変で……」
「今月、訪問が多すぎて結構きついんですよ」
といった話です。
最初の頃は、こういう話を単なる「営業中の雑談」だと思っていました。
でも、砂金では自分なりにケアマネ営業を続けてきて、少し考え方が変わりました。
もしかするとケアマネジャーが営業先に求めているものは、福祉用具の情報だけではないのではないか、と言う考えです。
「自分の感情や経験を安心して共有できる相手」
という存在も、営業マンが提供できる価値の一つなのではないかと思うようになりました。
ケアマネだって「話したいこと」を抱えている
ケアマネージャーの仕事は、利用者さんのケアプランを作るだけではありません。
利用者さんや家族、サービス事業者、医療関係者など、さまざまな人の間に入って調整する必要があります。
その中では、当然ながら大変なこともあります。
- 難しい利用者さんへの対応。
- 家族との調整。
- サービス事業者とのやり取り。
- 急な相談やトラブル。
- 職場での業務量。
こうしたことが積み重なれば、不満やストレスが溜まるのも当然だと思います。
もちろん、職場の同僚に話せることもあるでしょう。
しかし、何でも職場で話せるとは限りません。
だからこそ、仕事で付き合いのある営業マンに、
「実はこんなことがあって……」
と話してくれることがあります。
そして、利用者さんとの出来事は、必ずしも愚痴だけではありません。
認知症の利用者さんとの面白いやり取りだったり、ちょっと変わった利用者さんのエピソードだったり。
「今日こんなこと言われたんですよ」
と、誰かに聞いてほしい話もあります。
私は、こういう会話を意外と大切にしています。
「傾聴が大事」というのは、こういうことなのかもしれない
営業ではよく、
「傾聴が大切」と言われますよね。
私自身も営業を始めた頃から何度も聞いてきました。
ただ、実際にケアマネ営業を続けていると、傾聴というのは単純に「相手の話を黙って聞く」ということではないと感じます。
端的に言うと「相手の感情に寄り添えること」だと思っています。そして自分がどういうリアクションをすれば相手を満足させられるかが大切です。
例えば、ケアマネさんが、
「昨日、○○さんのところが大変だったんですよ」
と話してくれたとします。
そこで、
「そうなんですね」
だけで終わらせるのではなく、
「何かあったんですか?」
と聞いてみる。
すると、
「実はご家族からこんなことを言われて……」
と話が続くことがあります。
そこで、
「え!?それは大変でしたね…」
と返す。
さらに、
「その後どうなったんですか?」
と聞く。
これだけでも、会話はかなり変わります。
大切なのは、こちらが話題を用意することではなく、相手が話したいことを見つけてあげることなのかもしれません。
営業マンが話しすぎる必要はない
福祉用具の営業というと、
「新商品の情報を持っていかなければ」
「役に立つ情報を提供しなければ」
と考えてしまいがちです。
もちろん、それは営業として重要です。
商品知識も必要ですし、制度の知識も必要です。
しかし、毎回の訪問で商品の話ばかりする必要はありません。
むしろ、
「何か新しい情報を伝えなければ」
と営業マンが一方的に話してしまうと、ケアマネさんが本当に話したかったことを聞けない場合があります。
例えば、
「最近どうですか?」
と聞いてみる。
すると、
「いやー、最近忙しくて……」
という返事が返ってくる。
ここから、
「やっぱり忙しいですよね。最近特に大変なんですか?」
と聞けば、仕事の話につながるかもしれません。
その中で困っている利用者さんの話が出てくれば、そこで初めて福祉用具の相談につながることもあります。
つまり、
「商品を売るために会話する」のではなく、「相手を知るために会話する」。
その結果として、福祉用具の相談につながる。
この順番のほうが、私は自然だと思っています。
「この人なら話せる」と思ってもらう
ケアマネ営業で目指したいのは、
「福祉用具について詳しい営業マン」
だけではないと思っています。
もちろん、それも大切です。
でも、それに加えて、
「ちょっと話を聞いてほしいときに、この人に話せる」
という存在になれたら強い。
例えば、
「ちょっと聞きたいんだけど……」
と電話をもらう。
それが福祉用具の相談ではなく、利用者さんへの対応についての話だったとしても、まずは話を聞く。
もちろん、自分の専門外のことまで無責任に答える必要はありません。
必要なら、
「それは私よりケアマネさんのほうが詳しいと思います」
「その件については、○○に確認したほうがいいと思います」
と伝えればいい。
それでも、
「この人なら話しやすい」
という印象は残ります。
そして、こういう小さな積み重ねが、長期的な信頼関係につながっていくのだと思います。
ただし、「愚痴を聞けば仲良くなれる」という話ではない
ここは誤解してほしくありません。
ケアマネさんの愚痴を聞けば契約が取れる。
たくさん話を聞けば新規利用者を紹介してもらえる。
そんな単純な話ではありません。
また、ケアマネさんの話を何でも鵜呑みにしたり、他人の悪口に一緒になって参加したりするのも違います。
たける特に同業者や別事業所のケアマネの悪口等にも同調することは極力避けるべきです。理由は、誰にでも八方美人で調子の良いことばかり言っている営業だと勘違いをされるリスクがあるからです。
また利用者さんや家族、他事業所の話には個人情報やプライバシーも含まれます。
営業マンとして守るべき一線は確実あります。
私が言いたいのは、
「相手の話を聞くこと自体にも価値がある」
ということです。
「それは大変でしたね」
「そんなことがあったんですね」
「その後どうなったんですか?」
こうした言葉をかけるだけでも、相手にとっては「話を聞いてもらえた」という経験になります。
営業テクニックとして利用するのではなく、目の前の相手にちゃんと興味を持って話を聞く。
その結果として信頼関係ができる。
私はこの順番が大切だと思っています。



また話した内容を覚えておいて、次回の訪問時にその話題に軽く触れる事も好印象を与えやすいです。記憶力が乏しい方は訪問ログを残せるアプリなどで履歴を残しておきましょう。
ケアマネ営業で「聞く力」はかなり重要
新規開拓でも、既存の関係を維持する場合でも、営業マンには「話す力」だけではなく「聞く力」が必要です。
特にケアマネ営業では、
- 商品の説明をする
- チラシを渡す
- 新商品の情報を提供する
- キャンペーンを案内する
といったことだけが営業ではありません。
「最近どうですか?」
という一言から始まる会話の中に、相手が抱えている困りごとが隠れていることがあります。
そして、その困りごとを話してもらえる関係になれば、
「実はこういう利用者さんがいて……」
と、福祉用具の相談につながることもあります。
だから私は、ケアマネ営業では、
「何を話すか」だけではなく、「相手に何を話してもらうか」
を意識するようにしています。
「困ったときに思い出してもらえる営業マン」を目指そう
営業マンとして考えると、
「この商品を買ってもらう」
「このサービスを使ってもらう」
という結果だけを追いかけてしまいがちです。
でも、ケアマネ営業ではもっと長い目で考えてもいいと思います。
「福祉用具のことなら、この人に聞いてみよう」
だけではなく、
「ちょっと相談したいことがあるから、この人に連絡してみよう」
と思ってもらえる存在になる。
それができれば、営業としてかなり強いと思います。
ケアマネジャーが本当に求めているものが何なのか。
もちろん、人によって違います。
新しい福祉用具の情報を求めている人もいれば、レスポンスの速さを求めている人もいる。
専門的な知識を求めている人もいる。
その中の一つとして、
「自分の仕事の苦労や感情を共有できる相手」
という価値もあるのではないでしょうか。
だからこそ、ケアマネ営業では「何か役に立つ情報を持っていかなければ」と焦って話し続けるより、
まず相手の話を聞く。
そして、
「この人には話してもいい」と思ってもらう。
その積み重ねが、結果的に新規開拓にも、既存の関係継続にもつながっていくのだと思います。
営業とは、商品を売る仕事だけではない。
「この人と話すと少し気持ちが楽になる」
と思ってもらうことも、営業マンが提供できる価値の一つなのかもしれません。







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